ラテにはショット追加がおすすめです

10/12
141人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
「エンジンオイルは良好とはいえない状態であっても、走ることは可能だ。フィーリングは悪いが。だから変えない人は相当酷い状態でも変えない」 「へえ……たしかに、変えなくても走るなら車好きでなければ気にしないでしょうね。うちの配達車も車検のときくらいな気がします。変えたとか、聞いたことないから」 「これは想像だが、あのミニクーパーは長いこと汚れたエンジンオイルのままだったのだろう。もちろん、販売時にオイルは交換しているだろうが、分解でもしない限り内部を洗えるわけではないからな」  ふと、事務所のコーヒーメーカーに付属されているミル機を思い出した。  表面は綺麗にできても、細かなところに入り込んだ豆のカスをとりだけないため、ある程度の雑味がどうしても混ざってしまう。 「気の利いた整備工場なら、フラッシングを勧めてもおかしくはない。先月の車検時、オイル交換とともに、フラッシングされた可能性がある」 「フラッシング……つまり、綺麗にしてもらったってことですよね?」 「そうだ。エンジンの中から長年のゴミが取り除かれた。しかしこれに問題があった」 「キレイになったんだから、いいんじゃないんですか?」 「新しいオイルで走行していると、フラッシングで取りきれなかったゴミが浮いてくる。ああ、ゴミと言っても外から入ったものではなく、エンジン内部に張り付いていたもののことだぞ。浸透にも似ているな。そのうえ、あのミニクーパーは古い。エンジンも年を取っている。どれほどしっかり作ったとしても、振動を与え続ければ隙間ができてしまうものなんだ」 「隙間って……エンジンに、ですか?」
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!