胎動

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酒場の店主達から話を聞いた薔薇達は、訝しげな表情を浮かべながら店を後にする。 「どう思いますか、クレス?」 「どうと言われても…。あの人達は街を破壊した“青い半透明の生き物”を見た。でも他の人は見ていない。しかも揺れた事すら知らない。ワケ分かりませんって。」 「同感です。ティーク達に連絡を入れて、一度合流しましょう。」 「分かりました。ティークに繋げますね。」 クレスがティークに連絡を始めた途端、薔薇の通信機にディセントから連絡が入った。 「ディセント? 丁度よかった。今、合流の連絡をしようと…。」 『俺もなんだけど、その…。路地裏を調査してたら、何て言うか…。』 やけにディセントが曖昧であり、首を傾げる。 「何かあったんですか?」 『とりあえず、今応急処置してるから、終わったらそっちに向かう。』 ディセントの方から通信が切られると、薔薇はまたも首を傾げる。 「応急処置をしてから…?」 その頃、薔薇達が調査している街より東にある集落。 この集落でも先日、何者かによる襲撃があったらしく、こちらはデュレイザとエリーを始めとした団員が調査に赴いていた。 「何の手掛かりもないなんて…。一体どういう事なんでしょうか。」 「これだけの被害を被っておきながら、住民が誰一人知らないとは…。不可解にも程がある。」 こちらの集落は小さい為か、建物の損壊が大きく、中には全壊しているものもあった。 しかし、こんな状況でも住民達は何があったのか知らず、中には“天災によるものだろう”と言う住民もいた。 「状況と証言の辻褄が合わない。調査は難航しそうだな。」 「誰一人、此処がこんなになってしまったのかを知らないなんて…。でも、何らかの異変があれば普通は気付く筈です。」 「普通じゃない状況だから、どうしようもないんだ。一度薔薇達と合流するぞ。」 「はい。」
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