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───────────!!
突然遠くのほうから爆発音が響いた。
海の向こうのほう。
ぼくらの居る漁業組合前の漁港も、にわかに騒がしくなってきた。
「事故だってよ?」
「石油運搬船と旅客船の衝突だ!」
「全漁連は出せる船を全部回せ?」
「早く乗員乗客を非難させろ!引火する前に急げ?」
漁業組合の人たちが、バタバタと走り回る。
しかし、みんな夜中のうちに漁に出てしまっているので、残っている漁船は少なく、ここからはものの数隻が出れたくらいだった。
「伯方と三原の海上保安庁もスクランブルかけてるらしいけど、消火船が足りないらしい。タンクに引火したらどうしようもないな。」
この辺りの島を繋いでいる旅客船なら、乗客乗員合わせて100人くらいだろうか。まぁ、車も合わせれば150人くらいは居るだろう。
ほんと、引火してないのなら急がないと。
「にゃぁぁ?(大変そうだね?)」
のぞみに振り返って話しかけると、彼女は黙って爆発音のしたほうをじっと見ていた。
ん?
瞳の色が…?
彼女の黒かった瞳の色が、紅く変わった?!えっ?!
「マレシ?行くよ。」
「えっ?!行くよって?!」
思わず普通にしゃべってしまった。
けど、なんで? なんでぼくの名前を?
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