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「ぷはっ!なんで避けるんだよ?!感動の再会なんだよ?450年ぶりなんだよ?!」
ネコかきをしながら希子に文句を言うと、彼女は高らかに笑って言った。
「なーにしてんのマレシ? 話は後だって言ったじゃない。ほら迎えが来たから行くわよ?早く上がりなさい。」
「……ドSなところはちっとも変わってないんだね。懐かしいよ。」
仕方なく海面からジャンプで彼女の肩に飛び乗る。
「それで?これからどうするの?」
希子の耳元に聞くと、彼女はぼくを乗せたまま、海へ飛び降りた。
「わわっ!何っ?!えっ?海面に立ってる?!いっ イルカの背中っ?!」
慌てるぼくの頭を撫でて、イルカの背中に立った彼女は笑って、強い瞳で言った。
「ふふふ。海が私を傷つけるわけがないじゃないの。みんな助けるよ。 海も絶対に汚させない。私の海で哀しい涙は流させない。」
有無を言わさないその口調。絶対的な安心感。
ぼくは嬉しくなって叫んだ。
「いいよ希子!思う存分にやっちゃえ?」
そしてぼくたちはイルカの大群と共に、現場へと向かった。
現場は酷い有り様だった。
旅客船の真横に小型の石油運搬船が突き刺さっている。
この辺は島の間も狭く、海流も川よりも速いため、突き刺さったままどんどん流されてしまっている。
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