のぞみと希のShip's Log《航海日誌》

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 小さな爆発音も聞こえる。石油に引火するのも時間の問題だろう。  まだ海保も、他の漁船たちも来ていない。 「助けて!誰か。お父さんがっ!お母さんがっ!」  二階客室から女の子が泣きながら海に向かって叫んでる。  希子がすぐに反応して、イルカの背を飛ぶように走り、客船に飛び乗る。 「どうしたの?お父さんお母さんが落ちたんだね?」  泣きながら何度もうなずく女の子の前にぼくをおろして、希子は海に向かって叫んだ。 「さぁ海の子供たち!この付近に流されている人間を残らず助けなさい!生きていても死んでいてもよ?急げ!!」  希子の声にイルカたちが一斉に散らばった。  それを見届けてから、希子は女の子に向かって微笑んで言った。 「もう大丈夫だからね。そのネコさんと、安全な場所で待っていて?お姉ちゃんとネコさんがみんな助けるよ。わかった?」 「…うん。ありがとうお姉ちゃん。お願いします。」  女の子が深々とお辞儀して言ったのを見て、希子がくしゃくしゃっと女の子の頭を撫でた。 「いいのお礼は。マレシ?女の子を下のカーゲートまで下ろしたら、船内に残ったみんなをそこに誘導しなさい。急ぐよ!」  弾かれたように走り出す希子。  ぼくも急いで女の子に声をかけて誘導する。 「こっちだよ!ついておいで!」     
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