のぞみと希のShip's Log《航海日誌》

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 女の子は驚きはしたものの、黙ってついてきてくれた。 **** 「希子!間違いない。乗員乗客これでぜんぶだ!」 「ありがとう!こっちも集めたわ!」  石油運搬船のほうで乗員を甲板へ誘導していた希子が、甲板から叫んで、こちらに飛んできた。 「でも、生きてる救命ボートは四隻だよ?みんな乗れない。どうするの?」  ボートの定員は20名。ギリギリ乗っても30名が限度だろう。  あとの30人ほどが乗れない。でも急がないと引火してしまう。  希子を見上げると、笑っていた。  すごく綺麗な、ぼくの大好きだった太陽のような笑顔。  ぼくは大きく嘆息をして言った。 「君が笑ってるなら、ぼくたちは絶対に勝てるんだ。そうだったよね?」 「ふふふ。私たちは負けないよ?だって、世界最強の海賊なんだから。」  そう言って希子は、また海に向かって叫んだ。 「海の子供たちよ! 私たちを陸地へと運んで!お願い!」  その声に呼応して、海面がみるみる盛り上がり、茶色の陸地が出来上がる。  よく見るとアカエイの群れだ。  アカエイたちが身を寄せあって、海面に巨大な陸地を作っている。  乗員乗客たちが驚いている。ムリもない。こんなのムチャクチャだ。  だけど、希子らしい。     
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