第1章 お化け屋敷

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「ゆうちゃーん、お腹すいたー」 優衣は思わず部屋の中をのぞきこむ。靴が散らかっている玄関と同じように、部屋の中もおもちゃや服など、たくさんの物が散乱していた。 「あれ、俺の弟。まだ三歳なんだ」 「あんたが面倒みてるの?」 「そう。病気が治ったら保育園行けるけど、病気が治るまでは俺が面倒みてる」 「じゃあ学校来れないの?」 「学校なんて行かなくてもいいじゃん」 裕也はそう言うと、優衣に背中を向けて歩き出す。 ――そんなのへん。学校は行かなきゃいけないんだよ? 「あ、お前」 突然裕也が振り返って優衣を見た。優衣の心臓がなぜかドキンと跳ねる。 「お前、なんて名前だっけ?」 「七瀬……優衣」 つぶやくように答えると、裕也がほんの少し笑って言った。 「ありがとな、七瀬」 優衣は黙ってそんな裕也の顔を見つめる。 裕也はプリントをひらひらと振って、玄関に立つ優衣を残し、部屋の奥へ入っていった。
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