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ベルフェゴールの技に押されて、美希は防戦一方となってしまった。
攻撃を仕掛けようにも、仕掛けられない。そういう状況だ。
ベルフェゴールは、その時の感情の高ぶりによって強さが変わる。冷静であればあるほど、ベルフェゴールは強くなる。彼女は、今すごく冷静だ。相手の出方を集中して見て、最善の方法で攻撃する。
「おい、もうそろそろ手伝おうぜ。」
「いや、もうちょっと。」
防戦一方の美希のほうが体力が尽きてきた。これだと決定打を浴びるのも時間の問題。
(もう、あれを使うしかないのか...。)
美希は決意を定める。そして、鈴村家秘術『雷神銃』の発動準備に入った。
だが、ベルフェゴールがすかさず攻撃。準備の妨害をされてしまう。
(やはり、私じゃ発動に時間がかかって妨害されてしまう。。。でも、やるしか...。)
ベルフェゴールの一瞬のスキに目を向ける。なかなかスキを見せない。
その瞬間、一時停止したように、一瞬だけ、ベルフェゴールの動きが止まった。何故か分からないが、美希はそのスキを逃さない。
緑魔術『雷神銃』。呪符に電気を帯びさせて弾丸のように放つ。これはベルフェゴールに相当なダメージを与え、ベルフェゴールは地面に倒れ込んでいた。
「残念だけど、もう逃げられないよ。」
そう言って、美希はベルフェゴールを封印し、道に埋めてしまった。
「やっと、終わったみたいだね~。」
あの場でベルフェゴールを硬直させるというとんでもない魔術を使った張本人、翼はほっとした顔つきで言う。
「いや、今のはただの始まりに過ぎない。ベルフェゴールは恐らく偵察しに来たんだ。もう既に地獄に人間界の情報が流れてしまっている。また、悪魔共がやってくるぞ。」
「なら、返り討ちにしてやればいいのよ。」
「あのさ、お前堕天使なのに、どうして人間を守ったり、悪魔と戦ったりするんだ?」
「さぁ、私にもわかんない。」
連からの問いを、翼は受け流した。
「ベルフェゴールがやられてしまったっぽいですぜ、人間に。」
「人間に?ベルフェゴールを倒せるほどの人間がいるのか。」
「まあ、ベルフェゴールは所詮七大悪魔の中でも最弱。本当の遊びはこれからだということを教えてやる、ルシファー。」
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