異世界魔導師餌付け中 其の二

１

　きっかけは営業中に感じた、ちょっとした違和感だった。僕もはじめは何に違和感を覚えたのかまったくわからなかった。

　けど、それに気づいた瞬間、僕は目を疑った。

　――もしかして、魔法を使ってる？

　物を持つときや運ぶときに少しだけ指先から浮いてるように見える。気のせいか目の錯覚かと思ったけどジッとその部分を見つめれば微かな違いに気づく。そのほかにもヴァイゼの何気ない動作でも似たような違和感を覚えることがあるからこれも何か魔法に関係したことかもしれない。断言はできないけれど、その可能性は決して低くはない。

　魔法を使うなと言っても、これまでヴァイゼはたびたび使っていた。そのたびに人前では絶対に使うなと注意していたのに、彼の耳にはまったく入ってなかったらしい。

　もちろん彼の魔法によって助けられた部分はたくさんある。それを考えれば強く言える立場ではない。けれど、さすがに誰の目から見てもわかる形で魔法を使われたことに怒りを感じてしまった。

　いったい、いつから使ってたんだろう。