角を曲がれば

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  もしこれが、RPGの世界なら、 ▼ローズは称号「王子の契約彼女」を手に入れた. というテロップでも流れそうだ。 否、今私の脳内では流れた。 「2年生なら一緒だね。タメ口でいいのに」 手を離しながら王子が言った。 「おー、わだくんに対してそんな……畏れ多いです」 「あと「大和田くん」よりも「王子」の方が呼びやすいなら、それでいいよ。途中から変わってた」 「え、あ……じゃ……お言葉に甘えて……」 かなり間(ま)を取ってから返事をしてしまった。 すごく驚いたのだ、王子の観察眼に。 私自身、どこから王子を「王子」と呼んでいたか覚えていないのに、さらっと指摘されて少し恥ずかしかった。 同じ高校生だが『大和田』の一員なのだと実感する。 本当に私が恋人役でうまくいくのだろうか。 あまりバカをすると、契約を破棄されかねない。 「それで、私は何をすればいい?」 「とりあえず僕の家に来てもらう。母と話す」 レベル上げせずにラスボスに挑むつもりか?! 「大丈夫、色々考えてるから。僕を信じて」 おそらく、不安と不満がぶちまけられた顔をさらしてしまったのだろう。 王子は優しく私の肩をトントンと叩いてくれた。 その所作で、私の鼻が違和感を嗅ぎ取った。 「あれ? 王子、なんか……」 「ん?」 「なんかクサい!」  
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