7人が本棚に入れています
本棚に追加
もしこれが、RPGの世界なら、
▼ローズは称号「王子の契約彼女」を手に入れた.
というテロップでも流れそうだ。
否、今私の脳内では流れた。
「2年生なら一緒だね。タメ口でいいのに」
手を離しながら王子が言った。
「おー、わだくんに対してそんな……畏れ多いです」
「あと「大和田くん」よりも「王子」の方が呼びやすいなら、それでいいよ。途中から変わってた」
「え、あ……じゃ……お言葉に甘えて……」
かなり間(ま)を取ってから返事をしてしまった。
すごく驚いたのだ、王子の観察眼に。
私自身、どこから王子を「王子」と呼んでいたか覚えていないのに、さらっと指摘されて少し恥ずかしかった。
同じ高校生だが『大和田』の一員なのだと実感する。
本当に私が恋人役でうまくいくのだろうか。
あまりバカをすると、契約を破棄されかねない。
「それで、私は何をすればいい?」
「とりあえず僕の家に来てもらう。母と話す」
レベル上げせずにラスボスに挑むつもりか?!
「大丈夫、色々考えてるから。僕を信じて」
おそらく、不安と不満がぶちまけられた顔をさらしてしまったのだろう。
王子は優しく私の肩をトントンと叩いてくれた。
その所作で、私の鼻が違和感を嗅ぎ取った。
「あれ? 王子、なんか……」
「ん?」
「なんかクサい!」
最初のコメントを投稿しよう!