勇者、登場!

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勇者、登場!

そしてやって来たのが、この世界だ。 いやぁ、軽はずみに異世界に行きたいとか思ったらいけないね。 苦しみから逃げ出しても他の苦しみが待ち受けてるってよく言うもんね。 うん、分かった。 俺、もう逃げない。 神様、約束する。 元の世界に戻ったら慶介に立ち向かうよ! ……だから俺を早く元の世界に戻してくれーーーーっ!!!! 「ニンゲン、死ネ……!」 モンスターが斧を振り上げた。 避けるなんてそんな発想なかった。 そのくらい俺の頭は絶望一色に染められていた。 --お前、生きてて楽しいわけ? 走馬燈の代わりに慶介の最後の一言が頭を駆け巡った。 本当に、俺の人生つまんなかったな……。 目を瞑り全てを諦めて斧を受け入れる状態になっていたけれど、待てど待てども斧が俺を真っ二つにする気配がなかった。 恐る恐る目を開けると、モンスターは斧を振り上げた状態で固まっていた。 「……え?」 俺が目をパチパチさせていると、 「上物アイテムもらいぃぃぃ!」 ザシュ……! 誰かの叫びとともに、肉を剣で裂くような音が響いて、モンスターはそのまま前に、つまり俺に向かって倒れ始めた。 「え、え、ええええ!?」 避ける間もなく俺はモンスターの下敷きとなった。     
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