星の人と僕

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星の人と僕

側から見れば、今日は特別な日なのかもしれない。 でも僕にとっては、今までの日常と何一つ変わらなかった。 「彼」は言った、自分は火星から来たと。 それにしてはよくあるステレオタイプの宇宙人のようなフォルムをしていなかった。 足だって8本もあるわけじゃないし、ましてや緑色でもない。 普通の人間のような格好だ。 だがそれでいて、彼が身につけていた銀色のスーツにボサボサの赤い長髪は、どこか宇宙人ぽさを演出していた。 初めて彼に会った時、僕はラジオを聞いていた。 学校に行かなくなって半年が立ち、親にも見放された僕の唯一の楽しみが、どこの局だかもよくわからない放送から流れる、聞いたこともないような音楽をひたすら聞き続けることだった。 そうしていつものようにベットに腰掛けて、満点の星空を窓から眺めていると、突然彼が窓からやって来た。 「ここは二階だよ?どうやって入ったの?」 不思議なことに、僕は知らない人が入って来たにもかかわらず、彼を認めた時、「やっと来たんだね」という印象を覚えた。 それはずっとずっと前から、このラジオを通して彼を知っていたからだ。 「地球の重力とは実にやりにくいね」     
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