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そんなノイの様子に、ジーアは、にやりと笑う。
「狩りに参加したいか。」
「したい!」
即答したノイに、ジーアは豪快に笑った。
「よほど、槍の腕前が上がったとみえる。ならば、穴を掘り終えたら、ジーアの前で槍を投げてみせろ。上達していたら、狩りに連れていく。」
「本当!?」
「ジーアは嘘はつかない。ただし、穴を掘り終えるのが先だ。ジャーメの命は、長くはもたない。」
それは、ノイも感じていた。
あれだけ痩せて、少し長くしゃべっただけで体力を消耗して、ジーアの前でも眠ってしまう。
食べなくなって弱ったものに与えられる薬も点滴も、当時はまったくない。
食べなければ弱る。
弱れば死ぬ。
それだけだ。
至ってシンプルな時代なのだ。
翌日も、ノイたち男の子たちはカヤリに連れられて穴を掘りに行った。
リネは、本心を打ち明けたことで心を許したのか、ノイの側で作業した。
そんなリネに、ノイはこの作業が終わって槍の試験を合格したら狩りに連れていってもらえるとは言えなかった。
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