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ちょうど穴を掘り始めて半月。
「これくらい深ければいいだろう。」
ようやくカヤリから作業の終わりを告げられたノイたちは、全員ほっとした声をあげた。
最初に説明されたより、ずっと深い穴になった。
「これなら、獣にジャーメの体が食われることはない。」
浅いところに埋めると、飢えた獣に嗅ぎ付けられ、遺体を掘り起こされて食べられる可能性がある。
そして、それに味をしめた野獣が人を襲うために群れの周囲をうかがうようになるのは避けたかった。
そうカヤリに説明されて、ノイはカヤリの考えに感心した。
だが、納得した少年はノイを含めてほんの数名だった。
作業中も身が入らず、適当に手を抜いていた少年たちの一団は、不満そうな顔のままだった。
翌日。
まるで穴が完成するのを待っていたかのように、ジャーメが亡くなった。
家から板に乗せられて数名の女たちによって運び出されたジャーメの体は、最後に見たときよりさらに痩せていた。
板の一番先頭を持っていたマラカは、目を真っ赤に泣き腫らしていた。
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