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集落の中心にジャーメの遺体を運ぶと、女たちは板を地面に下ろした。
群れの全員で、それを取り囲む。
長であるジーアが、前に進み出た。
「ババ・ジャーメは偉大だった!知恵をもってこの群れを守り、我らに生きる術を与えてくれた!」
カヤリが、青々とした葉をつけた枝を一振り、ジャーメの体に置いた。
まだ寒冷極まりない時代、美しい花を添えることは難しかった。
しかし、枝には小さな花もいくつか咲いていて、カヤリが心を尽くして探してきたことがよくわかった。
「ババ・ジャーメに何も教わってこなかった者などいない!ババ・ジャーメは我ら全員の母である!その母を失ったことは、とても悲しい!」
ジーアは嘘をつかない。
都合のいいことも悪いことも、常に正直だ。
だからこそ、その言葉は力強く、誰からも否定されない。
全員が頭を垂れた。
泣く者も多かった。
「ババ・ジャーメへの栄誉として、これより埋葬を行う!動けるものはついてこい!」
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