長老の死

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「スエンはリネを許さなかった。リネを怒り、罵り、出ていけとも言った。私はそれを止めた。狩りでの失敗は、初めは誰にでもあるからな。ただ、スエンは失敗らしい失敗をしなかった。ただ、犬たちを危険に晒したくないからそれ以降の狩りを断ってきた。だから、私は狩りに参加しないスエンの言葉を聞かなかった。」 そこは、ジーアとカヤリは同じ意見なのだとノイは知った。 リネは、初めてということで失敗も許される。 次から気を付ければいい。 しかし、スエンはそうではない。 狩りに参加し貢献できる力を持っているのに狩りに参加しない。 群れとしては、そちらの方が問題だ。 「スエンはジーアのところに行ったな?」 「うん。」 リネのことを訴えに来たスエン。 それに対し、ジーアは、 『スエン。犬のことはカヤリに任せている。ジーアから言うことはない。そして、スエンのこともリネのこともだ。』『もし、ジーアが口を出してもいいのなら、こう言う。スエン、次の狩りにはスエンが参加するようにと。』 と、それしか言わなかった。 それを受けて、スエンは狩りに参加するようになった。
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