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穴に下ろされたジャーメの体に、参列した全員で土をかける。
掘るのにあれだけ苦心したというのに、埋めるのはあっという間だ。
掘り起こされた土はほぐされて柔らかくなっており、しかも参列者は多い。
ジャーメの体が見えなくなり、地面がこんもり盛り上がった場所を、ジーアの指示で固くならす。
獣が掘り起こして、ジャーメの遺体を食い荒らさないようにである。
「来い、マラカ。」
ジーアに呼ばれて、マラカが前に進み出た。
それから、他の少女たちも呼ばれた。
「ジャーメの偉大なる知恵は、マラカに引き継がれた。今後、尋ねたいことがあればマラカに。それから、マラカとともに知恵をわけあった者たちだ。必ずや群れの存続にその知識を役立ててくれる。」
なお、マラカはまだ年若ゆえ、ババの称号は他の女性に引き継がれると宣言した。
その女性は、群れで二番目に高齢で、骨の加工に秀でた女性だった。
それもまた貴重な技であり生活に必要な役割であったので、誰の反対もなかった。
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