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ジャーメの葬儀を終え、ジーアたちが群れの集落近くに戻ってくると、激しい犬の鳴き声が聞こえてきた。
「・・・・・・カヤリ。」
「うむ。」
ジーアの一声で、カヤリが走り出した。
ノイは、何事かとジーアに近づく。
ジーアは厳しい表情を浮かべていたが、焦ってはいなかった。
もし、大型の肉食獣や男たちが、ジーアたちの留守中に襲ってきているのなら、もっと血相を変えているはずである。
ということは、ジーアには心当たりがあるのかもしれなかった。
犬が鳴いているということは、スエンもそこにいるということだ。
どこかに来ているだろうと思っていたのに姿が見えないということは、リネもあの鳴き声の場所にいるのだろうか。
「カヤリから話は聞いていた。そんなこともあるだろうと思っていた。実際、前例がなかったわけではない。」
「前例って?」
ジーアは少しだけ歩を速めた。
他の女たちも、不安そうな顔で急ぐ。
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