長老の死

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「ノイ。ジャーメのための穴を掘っていて疲れたか。」 「え?」 「何故こんなことをやらされているのか、不満だったか。」 どうしてこのタイミングでこんなことを尋ねるのか、ノイにはすぐに理解できなかった。 「大変だったけど、誰かがやらなくちゃいけないし、ジャーメはみんなから尊敬されてたし、毎日穴を掘っていたら腕の力がついた気もするから、別にいい。」 ただ、それは同じく穴を掘っていた男の子達全員の意見ではない。 明らかに不満で作業をさぼっていた者たちもいた。 女の子は誰も穴堀に参加しなかったのは、やはり自分達が男で群れには必要のない存在だから雑に扱われるのかと、面白くなかった者たちだ。 「男の子ばかり選んだのは、理由がある。存在を軽んじてのことではない。だが、そう捉えたとしたらそれはそれで仕方ないとも思っていた。」 「それってどういう・・・」 だが、ノイの疑問は、カヤリの声でかき消された。 集落に戻ると、カヤリが愛犬のカイとともにジーアを出迎えた。 その後ろには、スエンもいる。 その表情は、激しい怒りに燃えていた。
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