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「行ったか。」
「行った。」
ジーアとカヤリは、既にわかっていたかのようだった。
ただ、カヤリはジーアに比べ、悔しそうな表情だった。
「ジーア!すぐに追いかけさせてください!」
カヤリの後ろから、スエンが叫んだ。
「リネが!子犬を2頭連れていきました!取り返さないと!」
「えっ!」
思わず声を上げたのはノイだった。
スエンの訴えを肯定する形で、カヤリから報告が伝えられた。
ジーアとカヤリの周囲に、他の大人たちも集まる。
「ジャーメの埋葬に付き添わなかった子供5人がいない。おそらく群れから出ていった。その一人がリネだ。」
カヤリがその5人の名前を挙げる。
全員男の子である。
その母親たちは、それぞれ息を飲んだり青くなったり、手で顔を覆って泣き出したりした。
これは、離反である。
群れへの裏切り行為であり、覚悟の上の出奔である。
それは、彼らが持ち出した食料や武器の数々で明らかになった。
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