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「ジーア。残って群れを守るようカヤリに言われていたのに、彼らを止められず申し訳ありませんでした。彼らを追って連れ戻す命令を私に与えてください。」
スエンが、一歩前に出た。
その足元には、スエンが一番可愛がっている若いメスの犬がいた。
茶色の毛並みのコノという犬だった。
リネは、このコノの子犬も連れていったという。
「スエンの責任ではない。群れからまだ巣立つ時期ではないのに、男の子たちがいなくなることはこれまでもあった。そうだな、マラカ。」
ジーアの問いに、ジャーメのこれまでの知恵と記憶を引き継いだマラカが頷く。
「何度も。そして、その子らは後悔して戻ってくることもあるけれど、二度といれてはならない。」
過去にも幾度か繰り返された離反行為。
いずれ群れから出されることが決まっている男の子たちが、自分達とは違う女の子たちに不満をもち、自ら出ていく。
ある意味、自分から独立していくのだから、頼もしいとも言えそうだが、群れの外の世界はそう甘くはない。
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