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「他の男の子も連れていこうとする。女の子も無理に連れ出そうとする。追ってこられないように、群れの家を壊す。食料を強奪する。さらには。」
他の群れの男たちを、引き入れようとするーー
女だけが残れる群れに対する報復か、女たちを狙う男たちに自分を育ててくれた群れを襲わせた。
そんなことがあったと、マラカは言う。
ジャーメが受け継いでいた過去の出来事を、マラカは語っているに過ぎない。
だが、過去の悲劇を教訓にできる群れは、長く存続できる。
マラカの言葉は、決して無視できるものではない。
出ていった男の子たちの親も、反論しなかった。
いずれ、外に出さなければならないとわかっていた子だ。
ただ、こんな形で群れに後足で砂を掛けるようなことになってしまったので、むしろ周囲に顔向けできない思いだったのだろう。
ジーアは、母親たちを集めて抱き締めた。
「誰のせいでもない。こうなるさだめだった。こういう季節もある。あの子らが無事生きていけるよう祈ろう。」
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