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「だったら、おまえは子供らしくしておけ。ここは、子供には優しい群れだ。男には、容赦しないがな。」
そう言うと、再びジーアは小脇にノイを抱えた。
あまりにもひょいと持ち上げるので、ノイのなけなしのプライドは傷つくのだが、今は生き残ることが先決なので、されるがままに身を任せた。
どうせ、まだ体に十分力が戻っているわけではない。
湯を体内に入れた体は、次は栄養を求めている。
腹が空いて、何でもいいから食べさせてほしかった。
それを言い出せずに脱力していると、腹の方が勝手にきゅるきゅると鳴った。
途端に、ジーアが笑い出す。
「体の中が動き出したか。おまえは、思いの外頑強だ。それを見抜けなかったおまえの群れは、本当にバカだ。ババ・ジャーメの許可をもらったら、食わせてやる。それまで我慢しろ。」
笑い方もまた豪快だった。
弾けるような笑い声は、まるで雲が晴れているときのおひさまみたいだと、ノイは思った。
ジーアは、ノイを抱えたまま、住居が密集している住一番奥にある、小さな骨の家の前まで来た。
「ババ・ジャーメ。ジーアだ。入る。」
入り口に吊るされた皮をめくりあげ、ジーアはノイとともに家に入った。
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