群れ

17/17
2878人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
「だったら、おまえは子供らしくしておけ。ここは、子供には優しい群れだ。男には、容赦しないがな。」 そう言うと、再びジーアは小脇にノイを抱えた。 あまりにもひょいと持ち上げるので、ノイのなけなしのプライドは傷つくのだが、今は生き残ることが先決なので、されるがままに身を任せた。 どうせ、まだ体に十分力が戻っているわけではない。 湯を体内に入れた体は、次は栄養を求めている。 腹が空いて、何でもいいから食べさせてほしかった。 それを言い出せずに脱力していると、腹の方が勝手にきゅるきゅると鳴った。 途端に、ジーアが笑い出す。 「体の中が動き出したか。おまえは、思いの外頑強だ。それを見抜けなかったおまえの群れは、本当にバカだ。ババ・ジャーメの許可をもらったら、食わせてやる。それまで我慢しろ。」 笑い方もまた豪快だった。 弾けるような笑い声は、まるで雲が晴れているときのおひさまみたいだと、ノイは思った。 ジーアは、ノイを抱えたまま、住居が密集している住一番奥にある、小さな骨の家の前まで来た。 「ババ・ジャーメ。ジーアだ。入る。」 入り口に吊るされた皮をめくりあげ、ジーアはノイとともに家に入った。 .
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!