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それで男女を区別しているわけではあるまい。
肉体を見れば、性別はあきらかだ。
「女はこの群れに残る。だから、名前は3つの音。男の子どもは、いずれ去る印に名前は2つの音。大人と認められてここを去るときに、3つめの音を与えられる。」
おまえの名がノイであることは、だから正しいのだと、ジーアはニヤリと笑った。
男の子どもは、音が2つ。
かつていた群れで「オイ」と呼ばれていて、ここではおそらくジーアがそこから連想した「ノイ」となった。
その「ノイ」にもう一つ音を加えられて、名前が3つの音になったときが、ノイの出ていくときだ。
そこにあるのは、差別ではない。
区別だ。
掟に守られた、絶対的な区別がそこにあった。
「ちなみに、カヤリが飼う犬の名も2つの音だ。つまり、正式なこの群れの人間ではないものに、我らは2つの音の名をつける。」
男女の違いだけならまだよかったが、動物とも同じ音の数の名前なのだと言われ、ノイは微妙な気分だった。
やがて、ノイの体は以前より綺麗になり、女たちはノイをジーアの方に押しやった。
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