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溜まった垢すべてを落としきったわけではない。
石鹸も湯もないのだ。
それでも、今までとは見違えるくらい清潔になった。
「意外と色が白いな。」
小綺麗になったノイを見て、ジーアが放った一言に、ノイが赤くなる。
まだ何も着ていないことの羞恥ではない。
ろくに狩りにも参加できず、住み処に残されて他の男たちのような逞しさも、日に焼けた肌も、まだノイにはないのだ。
弱々しく見えるのは、ノイ自身がよく知っていた。
「ありがとう。助かった。」
ジーアは、女たちに礼を言った。
慌ててノイもそれに続く。
女たちは笑いながら、「新しい服があるから、もらっていって。」と言ってくれた。
そして、それまでノイが着ていた薄く汚れた皮を奪ってしまった。
「おまえの服は、よく洗って、別のことに使わせてしまう。」
破れてぼろぼろになるまでは、どんなものも再利用だ。
使えるものはとことん使う、余分なものなど存在しない。
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