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ジーアは、またしてもノイを小脇に抱えた。
「あ、歩けるよ!」
あまりにもひょいひょい担がれてしまうので、さすがのノイもジーアに申し出てみるも、あっさり却下された。
「まだ体は弱い。歩くのも遅い。面倒くさい。」
おそらく、最後の面倒くさいが一番の理由なんだろうなと、ノイはがっくりと肩を落として力を抜いた。
ノイの体を女たちに預けている間も、ジーアは群れ全体を見回すように立っていた。
群れの長なのだという。
群れ全体が安全かどうか、正しく運営されているかどうか、見守るのも大事な仕事だ。
そんなジーアは、きっとノイのペースに合わせていくだけの余分な時間はない。
すたすたと歩いていった先の住居に、声をかけて入る。
そこでは、女たちがなめした皮や毛皮を縫い合わせていた。
細く尖った骨を針の代わりにして、同じく極細くした皮や丈夫な蔦などを寄り合わせたものなどで、器用に指先を動かしていた。
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