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その後の移動も、同様に抱えられる。
どうやらジーアは、ノイを自分の住居に連れ帰って湯以外のものを食べさせる前に、いくつか用を済ませるようだった。
その先々で、ノイは今の自分の体勢にずいぶん恥ずかしい思いをしたが、ジーアがそれを慮って歩かせてくれることはなかった。
ジーアが寄った先の一つで、骨を削って作った丸みのあるものをもらう。
「これは、ノイの器だ。ここに、食べるものを入れる。」
そう言われてしまえば、自分のためにもジーアはあちこちを寄り道をしているのだと思い、抱えられたままお礼の言葉を口にすると、女たちは決まってけらけらと笑った。
そうだよなあ、女の人に持ち上げられて連れて回られていたら、変だよなあ・・・
自分の姿がいかに滑稽かと思うと、ノイは泣きたくなった。
そんなノイの気持ちを知ってか知らずか、ジーアはノイを自分の住居に連れ帰り、下におろすと「どうだ?」と尋ねてきた。
どうだ、とは、何がどうだということなのか、ノイはすぐにはわからなかった。
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