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「いい群れだろう?ジーアが守っているここは。」
ああ、そういう意味かと、ようやく理解したノイが頷く。
鮮やかに分業が出来ていて、誰も彼もがきびきびと動いていた。
少なくとも今は群れが豊かで飢えておらず、そのおかげか女たちが皆優しい。
もしかしたらノイはこのまま役立たずの厄介者でいるかもしれないのに、煙たがる様子もなければ、外から来たと警戒するものもいない。
「一度群れの仲間と認めたら、みんなで子どもを可愛がる。みんなで互いを庇い合う。それも掟だ。」
自分の子も他人の子も、同じように世話をする。
動物の群れでも、よくある話だ。
雌が複数いる場合、互いに守り合う。
はぐれた雄が、雌を自分のものとするべく子ども殺そうとするのを、群れ全体で追い払う。
それと同じなのかもしれない。
「子どもを生んでいないものも、子どもを可愛がる。若い女は年老いた女に優しくする。育ててくれた女たち、自分が子を生むときに助けてくれた女たちに優しくするのも当然だ。季節がめぐっていくうちに、それはいずれ自分の姿になる。」
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