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この群れは、独自の掟で暮らす一つの自治体だ。
規模は小さい。
定住していないのだから、村とも言えない。
だが、考え方は正しく機能していた。
群れの存続のために子どもたちを皆で守るのが、種の保存からくる本能だとしても、老いた女たちを助けるのは感情であり、感謝であり、いずれきたる己の姿と重ね合わせることのできる思考力の高さがこの群れにはあった。
強いものが群れで偉く、老いて何もできなくなったものたちは、自然に隅に追いやられ死を待つだけだった以前の群れとのこの差はなんだろうと、ノイは驚いていた。
「おまえを見て、皆が笑っていただろう。」
あれは、みっともない姿だったからだと、ノイは赤くなった。
地面に座り込むことになったとしても、女たちの前で下ろしてくれたらよかったのにと思っていたが、最後までジーアには言えなかった。
「子どもを皆で育てるのは当たり前のことなのに、おまえが恥ずかしがってもじもじするからだ。あれは、遠慮するなということだ。それと、おまえはもう群れの一員だということだ。」
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