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やはり、ジーアは気づいていた。
気づいてなお、ノイをおろさなかったのだ。
「この群れには、外からも女が来る。おまえのように、他の群れにいられなくなったもの、育てていけなくて捨てられたところを拾われたもの、様々だ。」
特に、他の群れから追われて一人でさ迷ってここにたどり着いた女の大半は、ひどい目にあっていた。
「子どもが生めないから、もしくは何人も生んで体が弱って使えないから、怪我をして醜くなっているから。どんな理由でも、男は女に辛いことを強いて、好きにしようとする。勝手に追い出す。ここは、そんな目にあった女たちも受け入れる。」
今でいう駆け込み寺的な存在でもあるのだろう。
ただし、情報網も交通網も著しく制限されている時代だ。
運よくジーアの群れまでたどり着くことができるのは、本当に運なのだ。
当時は定住ではなく、獲物や例年とは異なる厳しい気候に合わせて移動を繰り返す。
それでもどうにか助けを求めてきた女たちを、ジーアたちは受け入れていた。
新たな血を入れる意味合いもあるのかもしれない。
血が濃くなりすぎるのを防ぐことにも一役買っていることは間違いなかった。
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