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「よく噛んで、ゆっくり食え。」
ジーアがノイに、硬く薄い肉を寄越した。
それは、干し肉にしたものだった。
「噛みきれなければ、湯につけろ。湯にも味がしみ出す。」
ノイ用にともらってきた骨製の器に、ジーアは夕べノイが口にしたものと同じ湯を入れた。
ノイは、肉を口に入れた。
硬いが、噛むとじわりと肉の味が口の中に満ちて、余計空腹が刺激される。
しかし、ジーアから再度よく噛むように言われ、さらに今の食料はこの手渡されたものしかないと思うと、がつがつと食べるわけにいかなかった。
ちびちびと、なるべく長く味わっていけるよう、噛み続ける。
それを見ながら、ジーアも自分の分の肉を取り出した。
ジーアがノイを連れて歩いている間に、届けられたらしい肉。
それを、鋭く研いだ石器の刀で削ぎ、そのまま刀に刺して火にかざす。
熱が通って油がじわじわしみ出したところで、口に運んだ。
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