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遠慮のない力で頭を掴まれ、ノイが悲鳴をあげる。
それに構わず、ジーアはノイの頭をつかんで自分と視線を合わせさせる。
「ノイを拾ったのは、ジーアだ。ノイの名前をつけたのも、ジーアだ。ジャーメの引き合わせたのも、他の仲間に宣言したのもジーアだ。そのジーアが、いいと言っている。」
それさえわからないほど、ノイは物分かりが悪いのかと言われ、ノイが首を振ろうといたが動かない。
「言ったはずだ。ノイは生きる力を持っている。そして、ジーアと会った。それだけで、ノイはここにいて大人になる意味がある。ここにいろ。いて、学べ。いいな?」
まっすぐなジーアの視線と、飾り気のない言葉に、ノイは体を震わせながら何度も頷こうとした。
頭は固定されていて、やはり動かなかったが。
「それに、ジーアが拾ったのはノイが最初じゃないしな!ジーアは育てるのが得意だ。今度、紹介してやる。」
自慢げにそういうジーアに、自分以外にもジーアに拾われたものがいるのかとノイは思い、ならば自分がいてもおかしくないんだなと少しだけ安心いた。
その安心が絶句に変わるのは、まだ先の話だった。
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