群れの日常

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ジーアの子育ては、確かに上手かった。 いや、もう12も季節を送ってきたノイを、子どもと言っていいのかどうかは微妙だし、厳密に言えば子育てではなく看護のようなものだったのだが。 ともかくも、数日後にはノイは一人で群れの中を歩けるようになった。 それまでは、ジーアが連れ出してくれるのを待つか、自力で出ていくも途中で疲れてしゃがみこんだところをジーアに見つかり、相変わらず荷物のように抱えあげられて運ばれるかだった。 「歩く練習は必要だが、自分の体に聞け。ジーアがいなければ、ノイは皆の前を這ってここに戻るのか、それとも転がるつもりか。」 連れ戻されたノイに、ジーアは真顔で尋ねた。 おそらく、冗談ではなく本気で言っているのだ。 さすがに、女たちの間を転がる自分を、ノイは想像できなかったししたくもなかった。 だからと言って、四つ這いで歩くわけにもいかない。 「ちょっと休んだら、また歩けるって思ってたから・・・」 「ならば、もっと早く休め。あれは休むのではなく力尽きるというんだ。」
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