3人が本棚に入れています
本棚に追加
言い終わる前に声を被せると、副島さんはとうとうビックリしてちょっと縦に伸びた。そんな動揺にも付き合っている暇は無い。
「こう何回も意味ありげに声をかけられてたらさ、そりゃ誰だって意識しちゃうよね? 正直以前から気になってましたし!」
昼休みに弁当を売り、売れ残りと一緒に空になったコンテナを駐車場に置かせてもらっている。それを何度かに分けて弁当屋兼自宅に持ち帰る。その最中に話しかけられることが多かった。だから最悪だ。
「忙しいんだよ! 売れ残りの廃棄で悩んでるときに、ちょいちょい質問して逃げてくのやめてくんない? なぜならばそれどころじゃないからだ!」
最初こそ期待して浮かれもしたものの、「鬱陶しい」という感想に変わるまで時間はかからなかった。
「安定営業するって約束があるせいでこだわりのラーメン屋みたく品数を限定して『今日はもうこれでおしまい』ってわけにはいかないんだよ。だから苦労して運び込んだ商品が廃棄になるのは仕方がないとしてもだよ? 放課後こうして取りに来たら、売れ残った数から減ってんの! 盗まれてんの! まったく、この学校の人間はクソだな!」
副島さんとなんの関係もない愚痴になってしまっている。気持ちが昂ってもう収まりがつかない。
最初のコメントを投稿しよう!