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壁。
今日の空は
今にも泣き出しそう。
そんなコトを思っていたら
「ミナミ君、何かあった?」と声をかけられた。
「えっと……茉莉花ちゃんだっけ?」
ミナミ君は
私を覚えていてくれた。
ビー玉みたいな瞳で見られた。
でも
ビー玉はキラキラしてなかった。
「何にもないよ?どうしたの?」
と
少し悲しそうな笑顔をしていた。
「何か辛そうに見えたから……。」
「また心配かけちゃったね。でも大丈夫だから。
俺、行くね。」
ミナミ君と私の前に
大きな壁が見えた。
それを少しでも無くしたくて
「慰めてくれる彼女さんいるの?」と声をかけた。
ビー玉みたいな瞳はいつもより丸くなった。
「慰めてくれる彼女はいないけど
気持ち穏やかになれる好きなヒトはいるよ。
心配してくれてありがとう。
ゴメンな。」と
呟いて
赤い自転車で走り去った。
泣き出しそうな空から泪が降ってきた。
私の瞳からも
泪が溢れてきた。
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