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期末テスト最終日だった。何気なく開いた液晶に、300文字の短い言葉の中で彼は私にそう告げた。
『好きだよ。離れたくない。それだけなのに、なんで俺は我儘って言われるんだよ。まだこの学校でアンタと一緒に過ごしたいんだよ』
その日の更新は、批判のレビューで荒れていた。『真面目に更新しろ』とか『私情を挟むな』とか『小説の中で告白すんなよ』と好き放題言われていたけれど、彼はいつも通り。
批判されたのにもかかわらず、紗矢にちょっかい出して追いかけられ、もう帰ってきたテストに悲鳴を上げ、打ち上げのカラオケの計画に積極的に意見を言って、楽しそうだった。
あれは私に伝えた言葉でいいのだろうか。
絵も描いている。小説も読んでいる。
なのに連絡先も交換していない私たちは、あの美術室でしか会話がない。
彼が来なければ終わってしまう、そんな関係だった。
もう怖くないのに。本当は優しい人だと分かっているのに。
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