お前の一番になりたい、君のことが好きだと伝えたい。

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「部長、これですよ、これこれ、パンフレットです」 「これ」 「夏休みにあるって言ってた、ひまわりの美術展です。夏休みに会う約束と連絡先を交換できるから一石二鳥ですよ」 「百合ちゃん……」 まだ彼の小説の中の言葉に返事をしていなかった。 自由が少ない私たちに残っている唯一の自由を、自分から放棄してはいけない。 誰かを好きということは、先生たちにも止める権利はないし理不尽な親の都合に振り回されることはない。 『死んでも死んでも死にきれねえ。 早乙女瑠偉』 そんなおかしなタイトルと名前で、彼は繊細な心を吐露していた。 「ありがとう。そうしてみる」 彼は、引っ越しの手続きで最後、父親と一緒に職員室による。 そして荷物を全部親に押し付けてから、打ち上げ兼彼のお別れ会に参加すると言っていた。 その前に私が絵を渡したいからと美術室に呼び出した。 教室で私から話しかけるのは初めてだったので、彼は喜んでくれていた。 もう少しで会いに来てくれる彼に、私はこの完成した絵と共に美術館のお誘いと――伝えたい。今から始めたいこと、今から知ってほしいこと、気持ち。 『絵が完成したらバイバイだったら嫌だ。俺はお前の一番になりたい――』 そう書かれた小説の更新に気づくのは、美術室に彼が現われてしばらくたってからだ。 Fin
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