一、

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 先生がよし、よし、斎藤残れ、よし、よし、と軍隊みたいに美品と失敗作を分けていく。 先生たちの言う美品は、爪は深く切り、化粧をしておらず、ピアスで穴をあけていない、ダサいスカートのまあつまり私みたいな子のことだ。 「……武田」  私の前の紗矢ちゃんの時に、織田先生の足が止まった。そしてじろじろとスカートと爪を見ている。 「髪は地毛だと親御さんから聞いているけど、……うーん」 「これネイルとか、マニキュアじゃないです。爪が割れやすいから透明の保護してるだけ。化粧もスカートも弄ってないっすけど」  紗矢ちゃんが自信たっぷりに言うと、先生の目が吊り上がる。言い返したいのが気に食わなかったって私だって分かった。大人しくしていたらピアスホールは気づかれなかったのに、更に先生のチェックが厳しくなると思う。 どうしてそう血の気が多いんだろう。 「ちょっと爪が長いかな。武田さん向こう」  ピアスホールは気づかれなかったけど難癖をつけられてしまったようだ。可哀想だと思うけど、やり過ごせばいいのに。そう小心者の私が心の中で毒づいている。  あーあ……。
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