非常に困った

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非常に困った

 今、俺は非常にまずい状態にいる。 「お兄ちゃん、だあれ?」  もう夜中の二時だぞ? 良い子は夢の中だろう。それに、俺の動きは太鼓判を押すほどに、静かで気付きにくいはず。耳のいい動物でさえも、気付かなかったんだぞ。  なのに……。 「あ! もしかして、サンタさん?」  俺のどこをどう見れば、サンタに見えるんだ。全身真っ黒なサンタが、いるわけなかろうに。 「やっぱりサンタさんなんだね!?」 「んなわけないだろ、てか黙れよ、バレるだろ」  慌てて子供の口を塞ぎ、月明かりしか無いその部屋で、俺は子供の熱い眼差しと、期待を込めた言葉に、若干の焦りを持ち始めた。  いかん、こういう職業は、焦りが一番失敗を生む。  そう自分に言い聞かせながら、布団の上で、飛び跳ねかねない勢いの子供を、落ち着かせる。
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