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「きぼうのたかだいって、場所ですよね?」
「あぁ」
「お友達に聞いてます! 一度来てみたかったんですよー!!」
「そりゃ良かった」
不器用にヘルメットを外し、子供らしくはしゃぎ、展望台と言われる柵の前まで来ると、嬉しそうに景色を眺め始めた。
あれはどこですか? あれは何ですか? 私の家はどこですか?
矢継ぎ早に質問されるもんだから、答えるつもりがなくても、答えなきゃいけない衝動に駆られ、ほんの少しの運転しかしていないのに、いつもの何倍もの疲れが俺を襲う。
子供の体力ってスゲーな。
大きく大きく息を吐き出してみせると、やっと落ち着いたらしい子供が、少し後ろにいた俺を振り向いた。
その目には相変わらず輝きが宿っていたけれど、唯一違った点は、そこに涙もあったこと。
なんで泣くんだよー! 今更家に帰せとか言うんじゃないだろなー!?
若干慌て始める俺へ、子供も慌ててその目を無理やり拭いて、変わらない笑顔を浮かべた。
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