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横を見ると、いつまでも願い事を唱えている様子の子供。
改めて横顔を見つめてみると、その表情、装い、背丈に雰囲気も、まだまだ子供。きっと小学校にも通っていないだろう。
そんな幼い子供が、大人の勝手なワガママや欲で、クリスマスイヴでサンタを待ちわびているはずなのに、家を出て来て、尚且つ、親の幸せを願うなんて、なんて、なんてーー。
「幸せか?」
「何ですか?」
しっかりと目を閉じ、ただじっと呪文の様に願い事を呟いていた子供。俺の声に我に返ったように目を開き、不思議そうに見上げてくる。その仕草がまた子供らしくて、いつか俺もそうやって、大人を見上げていたんだよなぁと、答えもせずに見つめてしまった。
「サンタさん? どうしましたか?」
「ん? あ、いや。お前、本当に幸せなのか?」
「幸せ? そうですね、幸せですよ! だって、ちゃんとご飯も寝るところもあったし、今はこうして、サンタさんの弟子にもなれましたし」
「いや、弟子とかサンタとかそういうのは無いけど……」
こんな日に、見ず知らずの大人と過ごすなんて、やっぱり子供には酷な気がする。
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