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何となく、自分を見上げる小さな子供の頭に手を当て、優しく撫でてみる。今まで触れたどんなものよりも柔らかくて、暖かくて優しくて、温もりが手から伝わる。
「お前は、親と離れて、本当に平気なのか?」
「え?」
「そんなに親の事を考えてやるってことは、物凄く大好きなんだろ?」
俺の言葉に、一瞬目を見開いた子供だったが、真似をするように柵へ体を預け、カッコつけるように空を見上げる。
小さいながらも、その姿はかっこよかったりする。
「うん。大好き、大好きだから、幸せになってもらいたいの。それには私は邪魔だし」
「本心なのか?」
「え?」
「本当に邪魔だと思うか?」
「だって、ママもパパも、私が居なければって言ってたもん」
「お前に直接か? そうじゃないんじゃない?」
「何でわかったんですか!?」
預けていた体を飛び上がらせ、またキラキラと瞳を輝かせる子供。何で何で? と、今度は俺の前で答えを待ちわびて来る。
鬱陶しい……けれど、素直なんだな。思ったことがそのまま行動にも口にも出る。本当に子供。いつかの俺も、こんな無邪気さがあったのだろうなぁ。
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