泥棒サンタ、なに願う?

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 見上げた空には、まるで入れ物からこぼしてしまったと言わんばかりの、たくさんの光が散りばめられていて、どれもこれもキラキラと、子供の瞳のように輝いている。 「俺もな、昔そうだった。まぁ俺の場合は本当に捨てられちまったからな、こんな情けない大人になった」 「サンタさん!? そんな可哀想なことあったの!?」 「同情なんていらねーよ。今は好きなことして生きてるし、これでいいと思ってるし」 「サンタさん、ママとパパに会いたいですか?」 「いや、どうかな。もう生きてねーし」 「死んじゃったの?」 「まぁな」  両親は不倫浮気の末、いつもの夫婦喧嘩が過熱しすぎ、刃物を持ち出した親父に母親は殺され、後を追うように親父も自殺した。俺はそれを目の前で見て、あれよあれよと施設に預けられた……残念な人間だ。  とまぁ、そんな話を子供に聞かせる訳では無いが……。
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