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「サンタでもなんでもいいから、少し黙ってくれ」
「やっぱりサンタさんなんだね! 会いたかったよ!」
「そりゃどーも、じゃあ俺は帰る」
「え!? 待って!」
何を隠そう、俺は立派な泥棒だ。
クリスマスイヴというこの日に、浮かれて、尚且つ、サンタとかいうオッサンの為に、どこの家も鍵が空いてるから入り放題。それをいい事に、俺は幾つもの家に侵入して、現金だけを盗んで行く。
モノは足がつくからな。
そうしてやって来た、最後の家。
どこの家より豪華で、門構えも立派だった。入るのを躊躇いそうになったが、そんな立派な門が、汚い子供の字で『サンタさん、入ってください』なんて張り紙と共に開いていたから、有難く入らせてもらったのだが。
止めておけばよかった。
「ねぇ、サンタさん、プレゼントは?」
「そんなのねーよ。大体な、サンタが世界中の子供達にプレゼントなんて配れるわけないだろ? 世界中に、何人子供がいると思ってやがる」
「やっぱり……」
クリスマスなんて、ましてやサンタからのプレゼントなんて経験の無い俺には、ただのロリコンオヤジとしか思えない。だからこそ、こういう子供の期待した気持ちが、何故だかイライラする。
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