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今にも窓から出ようとする子供。その姿が懐かしくて、叶えてやらなきゃと思う。
懐かしくて?
「待て、まだ何も決めてない」
「でも……早くしないと、ママとパパ、帰って来てしまう」
は? まだ帰ってねぇの? クリスマスイヴなのに?
そんなふつふつと湧き上がる怒りをよそに、無情にも、ガチャリと玄関を開く音がして、人の気配がする。
何故こんなタイミング!!
「あぁもうっ!! これだからガキは嫌い!! しっかり掴まれよ!!」
「はいっ」
そうして俺は子供を抱き抱え、窓から外へ飛び出し、そっと庭へ降り立った時、丁度大人の背中が玄関の中に消えて行く瞬間だった。
完全に締め切られたのを確認し、門の外へ飛び出した。
塀の影に沿って走り、少し先の公園の茂みに隠して止めていたバイクまで来て、やっと抱えていた子供を下ろした。
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