泥棒サンタ、誘拐する

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 あぁぁぁぁ。やってしまった!! もう後には引けない、立派な誘拐だ。これはもう、裏稼業は無理だな……あぁ、もうっ。  頭を抱えて考え込む俺をよそに、子供は嬉しそうに、けれど不思議そうに、俺のバイクを眺めている。  いい加減、俺がサンタじゃないことに気付いたか。騒がれないように……口にテープでも貼るか?  頭の中は誘拐犯だとどんな事をするのか、そんな考えが巡る。手足を縛るか、目隠しするか。  子供の願いを叶えてやる、優しい大人だと思えば……は無理だな。やっぱりこれは立派な誘拐だ。  考えても考えても、現実は変わらない。  あぁ……やはり、立派な家には入るべきじゃなかった。  いくら後悔しても、今更仕方ないのはわかっているけれど……。 「ねぇ、トナカイじゃないの? イマドキはバイクでプレゼント配るの?」  拍子抜けした子供の質問に、俺はもう、開き直るしかないかと、自分を慰めた。もしもだ、こいつの親がどこかしらの地位の高い人間なら、金品で解決してくれるかもしれないしな。そういうことにしておこう。そうしよう。
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