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♪~
和室から聞こえる聞き慣れた和楽器音楽。
「さすがですわね、詩さん。日に日に輝いていってます。」
日本舞踊の先生の、“姉”を絶賛する声。
「そんなコトありませんわ、立原家として当たり前のコトです、ねぇ、詩?」
母の謙遜する声。
「詩さんには、妹さんがいらっしゃるとか・・・」
「あぁ…いますわよ、でも詩と正反対で、日本舞踊なんてできるはずないんですのよ、あの子は」
先生の言葉に重ねるように私への罵声は続く。
「あんな子、産むんじゃなかったと夫婦共々、感じておりますわ。」
ほほほほほ、と少し刺々しい笑い声。
(慣れたけど、こんなの…所詮、私はお姉ちゃんの引き立て役。・・・を、演じるってトコかなぁ)
姉の学力は私の学力。
姉は私にテスト範囲を勉強させ、出そうなトコだけ私にまとめさせる。
間違った範囲を教えれば、姉に暴力を振るわれる。
大和撫子、という異名をもつ姉は家庭内暴力、通称BVの主犯。
私の体は痣ばかりだ。
そんな姉でも、日本舞踊だけはずば抜けて良く、幼い頃から天才天才と言われていた。
私は家を出て、少し遠目の自然公園へ行く。
一番の安らぎの場所は自然公園の中のクローバー畑。
人はおらず、ゆったりできる。
私は寝転がり空気を吸う。
あぁ、このまま消えてしまいたい…
「おー、死んどらんかったんな!」
気がつくと私は眠っていた。
そして、勝手に死んだことになっていたらしい。
「誰、あなた。」
私が聞くと、彼は「にひ」と笑い、
「柳田俊!!」
と言った。
私は彼に対してそこまで興味も無かったし、なにしろ肌が焼けていて怖かった。
「そう。」
私はそれだけ言って踵を返した。
「あんたも名乗んなよ!!失礼やん!?」
“やん”・・・関西人か。
「立原雅。」
そう言うと俊は「ほー…」と言った。
「んっ!?立原財閥のお嬢さん!?」
急に声を張り上げるものだから、私は驚き「そ、それがなに?」と言った。
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