オオカミとチョコレート

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(今日はもう学校も終わってるし、今から渡すなら何かきっかけがいるな……)  ブツブツと独り言を呟きながら階段の踊り場にさしかかる段を踏んでいったそのときだった。 「や、やめてください……!」  階段の踊り場で、ひとりの女子生徒が数人の男子高校生に囲まれていた。 「なあ、無視すんなよ。一緒にカラオケ行くだけだし」 「俺達チョコ貰えなかったんだし、少しくらい援助してくれてもいいじゃん」 「こんなに頼んでるのに無視られると俺らも傷つくんですけど」  どこからどう見ても、モテない男子高校生がチョコを買いにきた女子生徒に絡んでいる図だった。  それを見てましろは握り締めた拳をバシッ! と手の平に叩きつけた。 (バレンタインの神様サンキュー!!)  ましろはこの日、初めてバレンタインデーという日に感謝した。  結果として、ましろは男子生徒数人をひとりでボコボコにし、デパートの警備員に連行されたのち、身柄を引き取りに来た三島によって学校へと連行された。  すべて計画通りだ、とましろは制服の内ポケットに隠したチョコレートを撫でながらほくそ笑んだ。
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