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 世界を舞台にモデルをしているだけあって孝太郎はスリムと言えども、身長は188センチもある。しかし、征弥は易々と起こして、肩を貸す。移動しながら 「少し中断させて下さい」  征弥は今度はスタジオ中に響くように言って、スタジオの隅にあるパイプ椅子に孝太郎を座らせる。 「ごめん、征弥君。撮影押しちゃうね」 「気にすんな……今捻ったのか?」 「うん。……っ痛っ」  テーピングの上を征弥がなぞると、びくりと孝太郎の肩が揺れた。 「結人!」  征弥が結人を呼ぶと、救急箱を手にした結人はすぐ傍まで駆けて来ていた。 「大丈夫か?」 「ちょっと捻っちゃったみたい」  痛そうに顔を歪める孝太郎。 「一人で立てるか?」  孝太郎が恐る恐る立ち上がる。何とか立ち上がったのを見て、 「そんなに重くはないな。テーピングやり直そう」  再び椅子に座らせて結人は孝太郎のテーピングを直す。 「今日はもう踊るのは無理だな」  征弥が言う。 「残りを踊らない楽曲に変更してもらうか……」  結人が呟くと 「いや、変更はスタッフも準備大変だろ。東城さんにも曲と振りを覚え直させることになる……あと残り2曲だし、孝太郎の足元出来るだけ映さないようにして何とかならないか、カメラさんと山城さんと話してくる。孝太郎がソロで歌うところは尚に歌わせて、後は編集でどうにか出来るだろ」 と征弥が言う。 「じゃあそっちは頼む。俺は孝太郎の応急処置した後、他の皆にざっと説明して回るから」  結人の返事に征弥は頷くと、孝太郎の頭をくしゃり、とかき混ぜて 「気にすんな。頑張りすぎたんだろ」 と心配させないように、優しく微笑んでから身を翻した。誰もを虜にしてしまう、美しい笑顔に結人は人知れず小さく固まった。 「あー、こういうとき、征弥君には勝てないなぁって思っちゃう」  孝太郎が呟いた言葉に思わず自分の内心が零れたのかと思ってどきり、として顔を上げた。だが、どうやら孝太郎が単に同じことを思っただけのようだった。 「はは、あいつはお前らの兄貴みたいなもんだからな」  内心の動揺を悟られないように、平然を装う。 「兄貴ってより、此処まで差があると俺らのお父さんだよ……で、お母さんは結人君」 違う?と悪戯っぽい表情を浮かべる孝太郎の頭をぱちん、と軽く叩く。 「馬鹿なこと言ってんな。こんな仲の悪い両親やだろ」 「えー、俺と伊織いっつもそう言ってるけど。何だかんだでここぞって時には二人のコンビネーション凄いじゃん。息ぴったり」 「はいはい。ほら、終わったぞ。立ってみろ」 孝太郎の言葉をなるべく留めないように、流す。 「うん、大丈夫そうだな」  一人で立てるし、歩くのならば問題なさそうな様子だ。          
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