友達の絆

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ちょうど夕食前であったのであろう。 ジュー、 ジュー、 パチ、 パチ、 パチ、 パチと、 少し水分を含んだ薪が弾ける音がして、 暖かそうな囲炉裏には、 持ち手が欠けた大きな土鍋に、 色とりどりの具が入った雑炊が、 グツ、 グツ、 グツ、 グツと音を立てて煮えていて、 私の腹はグーと鳴り、 思わず、 涎がポタ、 ポタ、 ポタ、 ポタと限りなく落ち、 板間には小さな池ができた。 つい先程まで、 胃がムカツク気持ち悪さは、 どこかに飛んで行ってしまった。 「さあ、 たくさん召しあがってください」と母親が、 少し欠けている大きなドンブリ鉢に、 なみなみと入れてくれた右手には、 どこでも良く見かける大きな蛾が、 四匹止まっていたが、 私は無理に知らぬ顔をして,様々な色の雑炊をまるで餓鬼のように、 ガツ、 ガツ、 ガツ、 ガツと音を発てて、 貪り食い、 お代りを四度もお願いしたほど、 相変わらず、 素晴らしく美味な昔懐かしい味だ。
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